サボテン追放-アメリカ


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サボテン追放-アメリカ

映画の都で知られたハリウッドから、ロサンゼルス付近はもとより、カリフォルニア一帯は、昔から荒涼たる砂漠で、サボテンがはえているほかは人の住むべき土地でもなければ、農耕に利用されるような土地がらでもなかった。
それがいまでは、各地に大都市が開け、それらをとり巻いて、世界的に良質なくだものを産する広大な果樹園、大規模なそ菜園芸や牧畜、花園などが経営されるようになり、アメリカ有数の楽天地となった。
これは人工的に砂漠を改造したからで、人間が行なった地・球改造のいとぐちのようなものだった。
これらがアメリカの大資本によって、主として日木人第一世移民の手で行なわれたのだから、興味深い。
砂漠を改造して、農耕のできる適当な湿地にするためには、まず、そこらにヤブをなしてわがもの顔にノサばっている、わが愛すべきサボテンを退治てかからなければならない。
そこで、これらの茎や幹を切り払っては捨てたのだが、サボテンの不死身さで、切り刻まれると、それぞれの一片一片がそこへ根をはやし、独立した一本の植物になるというありさま。
切り払って捨てれば捨てるほど、ますますあたり一帯は、前にもまして足も入れられないサボテンのヤブになる。
火をはなって燃やしても、燃えない植物だし、根ごと引っこ抜いてコロがしても、また根を出してはびこる。
すっかり手をやいたあげく、最後に考え出したのは、近くの低いところを流れる川から、州ごと電力で水を引いてきて、それをサボテンの茂る砂漠へ、一面に押し流す、という方法であった。
これには、さすがのサボテンも、たわいなく参ってしまった。
サボテンは、多湿にはカラキシ弱いからだ。
そのうえ一石二鳥式に、そこら一帯はこれをきっかけに、満目緑野と化して、すばらしい農耕地に早変わりした。
かくして、カリフォルニア地方の近代文化が現在のように開けるいとぐちとなったのである。


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